小説書き向け 小説の人称と視点 [Biogの取説]

がぞう ★出典: http://tenmyo.s58.xrea.com/cre/
1:小説の人称と視点
一般に小説は、(意識するにしろしないにしろ)人称と視点が定まっていないと書けないか、書けても違和感のある文章になります。

2:人称には一人称・二人称・三人称の3種類があり、小説では主に一人称か三人称を使います。

人称を決めることにより、地の文の語り口が定まります。人称は段落単位で変えられますが、頻繁な切り替えは読者の混乱の元になります。
☆一人称
「俺は~」「私は~」というような、主語が一人称のものを指します。日記もここに分類します。著者・読者ともに語り手へ感情移入しやすいのが特徴で、初めて小説を書く人は一人称で書くことが多いようです。一人称で書かれた小説としては、夏目漱石の『我が輩は猫である』や、新井素子の著作、神坂一による『スレイヤーズ』などが有名です。少女小説に多い形式です。

読者は語り手に同調します。長所は、感情描写がしやすく、語り手への感情移入もさせやすいこと。短所は、読者が語り手に共感できなかった時に拒絶反応をおこされてしまうかもしれないことと、客観描写がしづらいこと。読者の感情移入しやすい人物が、悩み考えながら何かをする小説に、向いています。

「語り手=ヒーロー」とするのが一般的ですが、そうでないものも多くあります。古い例を出すと、シャーロック・ホームズシリーズは、脇役による一人称です。最近では小説『ラグナロク』で、主役の相棒が語り手となっています。

脇役が語り手となっても、感情移入をさせやすいという一人称の特徴は変わりません。読者は「尊敬」や「嫉妬」といった語り手の気持ちへ感情移入することになります。

※)一人称の場合、自動的に語り手の視点となり、語り手の見聞きしたこと・思ったこと・感じたことのみが書けます。
☆二人称
「あなたは~」「諸君は~」と、主語が二人称のものを指します。手紙もここに分類します。読者は、登場人物に語りかけられたかのように感じます。ゲームブックやハウツー本でよく使われ、小説では全くといっていいほど使われない形式です。二人称で書かれた小説として、乙一氏の短編集『さみしさの周波数』収録の「フィルムの中の少女」があります。

読者は聞き手に同調します。語り手の心理が直接的に描写されないため、読者は他の人称よりも注意深く読むでしょう。ドキドキ・ハラハラを強く感じるため、じわじわと迫りくる何かを描写するのに向いています。語る間が無いようなアクション小説などには不向きです。

※)二人称の場合、心理描写はいっさい無く、語り手が語ったことのみを書けます。すべてが、「語り手の語り」というフィルタを通して読者に伝わります。
☆三人称
「彼女は~」「太郎は~」のように、主語が三人称のものを指します。舞台の脚本などもここに分類します。小説の形式としてはかなり昔からあるようで、ほとんどの商業小説は三人称で書かれています。語り手のアクがほとんど出ないため、オールマイティに使える人称です。

三人称では、作中に登場しない人物が語り手になります。客観的に書かれ、登場人物の主観はまったく入りません。登場人物になりきって書けないため、慣れないと難しい形式です。

長所は、他の視点ほど読者を選ばないこと。短所は、他の視点ほど登場人物に感情移入しやすくないこと。

小説.jpg※)三人称の視点では、登場人物の主観をまったく入れず、客観的に描写します。「彼女がこの物語の主役である」というように、描写の語り口に作者の主観を入れる場合もあります。  カメラの視点(三人称客観視点) ・ 一人の視点(三人称限定視点) ・ 神の視点(三人称全知視点)

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